VOXからヴィンテージのVOXワウを再現したモデルが登場
VOXから、ヴィンテージのVOXワウを再現した「V846 VINTAGE WAH(以下、V846)」と「REAL MCCOY WAH(以下、VRM-1)」、VRM-1の限定モデル「REAL MCCOY WAH LIMITED EDITION(以下、VRM-1 Limited)」が発売されます。
- V846はよりアグレッシブなトーンで、スウィープレンジが広く、高域を強調
- VRM-1は象徴的な鼻にかかったトーンで、中域が強調され、ウォームな、歌うようなトーン
- VRM-1 LimitedはVRM-1の全体をクロームメッキに包んだ限定モデル
開発経緯
1967年にVOXブランドから登場し、クライド・マッコイ(Clyde McCoy)のトランペットのミュート奏法を再現するために開発されながら、瞬く間にギターの表現力アップに有効であることが判明したWah-Wahペダルは、ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンといったアーティストが象徴的なパフォーマンスや楽曲を生み出すために使用したペダルのようです。
そして、現存する当時の実機は、現在ヴィンテージユニットと呼ばれ、希少であるだけでなく、その時代ならではのトーンを持つ機材として、高い人気を誇っているようです。
しかし、それらのヴィンテージ機材は高価で、部品の信頼性も現在の基準から見ると低く、ステージでの使用は現実的ではなく、金銭的に手が届かなかったり、交換部品の入手が非常に困難になっているといった実用性に難があるようです。
そこで、VOXは、オリジナルのワウを徹底研究し、その秘密を解明することに焦点を当て、伝説的なトーンを求める人々に、マッコイワウとV846の究極に理想的な個体と全く同じトーン特性を持つ「新品」を提供することにしたようです。
また、ヴィンテージワウは、ユニットごとにサウンドが異なることで有名で、シンプルな回路と個体差が大きい部品によって、同じ製造ラインの2つのワウの音色の違いは、「昼と夜」ほど違うと言えるほどのようです。
今回は、しばしば「Holy Grail = 聖杯」という言葉で例えられる、究極に理想的な個体と呼べるビンテージの実機を手に入れることで、開発がスタートしたようです。
インダクター
V846、VRM-1、VRM-1 Limitedは、ヴィンテージワウのHaloインダクターのレプリカを使用しているようです。
これは、ヴィンテージユニットのインダクターの特性を正確に測定して作られたようです。
そして、ヴィンテージワウは、ヴィンテージ部品の許容差によって、結果的な特性に個体差が生じていましたが、インタクターを構成する中心的な部品であるコア材を微調整することで、特性を大幅に安定させることができたようです。
これによって、求められるトーンを損なうことなく、すべてのユニットで一貫したトーンを提供できるようになったようです。
また、V846とVRM-1では、トーン特性の違いを出すために、インダクターを若干変更しているようです。
ポット
ペダルからギヤを経て動く可変抵抗のポテンショメーターは、ワウのスイープに命を吹き込むパーツであり、正しい寸法で設計された筐体に組み込まれる事によって、ヴィンテージのニュアンスを再現するのに重要なパーツになるようです。
そして、ヴィンテージから取り外し、同じカーブになる様に調整して、粘りのある音色変化を作り出したようです。
また、V846とVRM-1では、異なる抵抗値、カーブにしているようです。
トランジスタ
ヴィンテージにも使われているのと同様の型番と外観であるBC109という金属缶パッケージのトランジスタを使用しているようです。
そして、缶タイプは、外装部分がトランシスタの端子の一部であるため、組み立てると直面する底板の影響を受けやすい構造になっているようです。
同様のトランジスタが入手できたものの、60年代の部品と比べて音色が違ったため、音色の調整をするため回路を追加したようです。
そのため、オリジナルには見られない追加部品がありますが、違った時代のパーツで昔を再現するための工夫を加えたようです。
抵抗
ギターアンプにおいて「カーボンコンポジット」抵抗が珍重されることがありますが、60年代後半になると安価で品質の安定した「カーボンフィルム」抵抗が一般的になったようです。
そして、68年に始めて登場したWahにもカーボンフィルム抵抗が採用されていたようです。
V846、VRM-1、VRM-1 Limitedでもカーボンフィルム抵抗、ただ大きめの1/2Wサイズを使い、チップ抵抗や1/4W抵抗とは違った柔らかなヴィンテージワウの質感を再現しているようです。
コンデンサ
Wah回路において、特に音色に影響を与えるコンデンサは、2個所に使われる容量0.01uFの物のようです。
しかし、ヴィンテージワウに搭載されるコンデンサは特殊形状のため、現在において量産で使う事は不可能なようです。
そこで、V846、VRM-1、VRM-1 Limitedには、メタライズドポリエステルコンデンサを採用し、10種類以上の候補からもっとも深みのある音色のコンデンサを選んだようです。
ケース
ケースの設計は、Wahというエフェクトペダルの構造において、足を置く角度やペダルの可動範囲に影響を及ぼすため、重要な要素になり、表情豊かにWahをコントロールするには、足の感覚をたよりに微妙な操作が必要になるため、たとえ電子部をすべてヴィンテージから乗せ換えたとしてもケースが違えば”別物”に感じてしまうようです。
そこで、新規に金型を起こすべく、ヴィンテージを分解して下ケースとペダルの3Dスキャンを行ったようです。
これにより、ヴィンテージと同じ角度で動くペダルは、ポットと合わさってヴィンテージワウのニュアンスを再現するようです。
また、エフェクターは「ケースで音が変わる」という事が巷では言われており、最近ではブラスなどユニークな素材を使った他社製品も見られるようになってきたようです。
これは大なり小なり事実ではあり、ヴィンテージで使われている金属もまたそのフェクターの音色へ影響を与え、独特なサウンドを奏でるようです。
特に、Wahは消費電流が1mA以下でインピーダンスが高い回路のため、他のエフェクターに比べると周囲の影響が大きくなるようです。
そして、素材に関しては当時と同じくアルミを採用しましたが、ヴィンテージと比べるとアルミ材に含まれるアルミ以外の材の比率の違いによって、試作は音色について高域が少しロールオフしていたようです。
そこで、GNDの取り方をオリジナルから変更しており、ジャックで発生する高域成分の減衰を少なくするため、ジャック部ではケースとジャックのGND部を絶縁し、ワッシャーを追加しているようです。
さらに、ケースだけでなく底板もビンテージ愛好家の間では「Wahの底板の材質で音が変わる」という認識が行きわたっており、現に底板を変えると音が変わる事を確認したようです。
つまり、ヴィンテージの再現には、底板を取り付けたときの音色を含めて再現する必要があったようです。
そのため、音色変化の大きな鉄製の板を加工する事によって、ヴィンテージ同様の60年代後半に聴かれたような感情豊かに歌うような音色を奏でるようです。
線材
シールドケーブルで音色が変わるように、ハイインピーダンスな回路なワウでは線材による音色の影響は無視できず、一般的には細い線材では音色的にはレンジの狭い細目な音となり、太い線材を使うとレンジ広くて高域まで伸びた音色になる傾向があるようです。
そして、一般的に線材は撚線が採用されており、上記の傾向はその撚線1本の太さと本数によって決まっている事が分かったようです。
そのため、むやみに太い線材を採用するとぎらついた音になっていき、ペダルがつま先側になった時に耳に痛いサウンドになっていくようです。
また、通常使われる事が多い線材は、AWG24芯数11本で素線サイズが0.16mm、AWG26芯数7本で素線サイズが0.16mmなのが通常ですが、今回採用した線材はAWG24芯数7本で素線サイズが0.2mmのようです。
そして、芯線の本数を7本から増やすことなく、1本あたりの線材を太くしたことによって、ぎらついた音になる事無く、カカト側でも芯のあるしっかりした音色となったようです。
V846について
V846は、よりアグレッシブなトーンで、スウィープレンジが広く、高域が強調されているようです。
これは、いわゆるワウワウ効果の決定版と言えるサウンドのようです。
VRM-1について
VRM-1は、象徴的な鼻にかかったトーンで、中域が強調され、ウォームな、歌うようなトーンが得られるようです。
そして、リードギターの1音1音の表情を際立たせる奏法に最適なようです。
VRM-1 Limitedについて
VRM-1 Limitedは、VRM-1の全体をクロームメッキに包んだ限定モデルのようです。
まとめ
- V846はよりアグレッシブなトーンで、スウィープレンジが広く、高域を強調
- VRM-1は象徴的な鼻にかかったトーンで、中域が強調され、ウォームな、歌うようなトーン
- VRM-1 LimitedはVRM-1の全体をクロームメッキに包んだ限定モデル
VOXから、ヴィンテージのVOXワウを再現したモデルが出ますね。
VOXのワウペダルを探している人は、検討してみてはいかがでしょうか。
また、VRM-1 Limitedは限定モデルのようなので、欲しい人は早めに購入することをおすすめします。
V846についてはこちらを参照してください。
VRM-1についてはこちらを参照してください。
VRM-1 Limitedについてはこちらを参照してください。